旅行先にはスマホやタブレット、ノートパソコン、カメラ、電動シェーバーといった携帯型電子機器を持っていく人が多いでしょう。電子機器を機内へ持ち込む場合は、使用されている電池の種類に注意しておきましょう。電池の種類によっては、機内への持ち込みが制限される場合もあれば、スーツケースの中に入れて預け入れすることが禁止されているものがあります。もちろん、予備用の電池として電池単体で持っていく場合も、種類によって機内への持ち込み、預け入れともに制限があります。
この記事では、身近なアルカリ乾電池からスマホやノートPCに使われているリチウムイオン電池まで、様々な種類の電池の飛行機への持ち込み制限について紹介しています。旅先や出張先に電池、電池内臓の電子機器を持っていく人は是非参考にしてみてください。
電池の種類別持ち込み制限
電池は使い切りタイプの一次電池と、充電して繰り返し使える二次電池(充電式電池)があります。一次電池は、マンガン電池、アルカリ電池、ボタン電池、リチウム電池、二次電池はニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池があります。電池の種類によって、機内への持ち込み、預け入れに制限があるので、注意しておきましょう。
一次電池 | 二次電池(充電式電池) | ||||||
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マンガン乾電池 | アルカリ乾電池 | ボタン型電池 | リチウム電池 | ニカド電池 | ニッケル水素電池 | リチウムイオン電池 | |
機内持込 | 〇 | 〇 | 〇 | 制限有り | 〇 | 〇 | 制限有り |
預け入れ | 〇 | 〇 | 〇 | 制限有り | 〇 | 〇 | 制限有り |
マンガン乾電池:〇
マンガン乾電池は機内への持ち込み、預け入れともに制限無し。
マンガン乾電池は、アルカリ乾電池に比べてパワーは劣るものの、休み休み使うことによって電圧を回復させることが出来る特徴を持ちます。そのため、スイッチを入れたり、切ったりすることが多い電子機器に多く疲れています。主に、置時計、掛け時計、テレビやビデオデッキ、エアコン、照明器具等のリモコン、キッチンタイマー、ペンライトなどに使われています。
アルカリ乾電池:〇
アルカリ乾電池はマンガン乾電池同様、機内への持ち込み、預け入れともに制限無し。
アルカリ乾電池は、マンガン乾電池と見た目は同じ。ただし、マンガン乾電池に比べてパワーがあり、容量も大きいため、約2倍以上長く使えるのが特長。マンガン乾電池に比べて性能面で優れているので、現在は多くの電子機器につかれています。主に、ICレコーダー、CDプレーヤー、携帯ラジオ、ワイヤレスマウスなどに使われています。
ボタン型電池(SR/LR):〇
ボタン型電池(酸化銀電池、アルカリボタン電池)も機内への持ち込み、預け入れともに制限無し。
ボタン型電池は、SR920SWのように「SR」で始める酸化銀電池、LR44のように「LR」で始まるアルカリボタン電池があります。酸化銀電池(SR)は電池容量に関係なく電圧が安定しているため、電卓、腕時計、カメラ、体温計といった精密機器に使用されています。一方、アルカリボタン電池(LR)は値段が安いものの、電池残量が少なくなると電圧が低下してしまう特徴があります。LRが使われているものは主に、時計、電卓、歩数計といったもの。
リチウム電池(CR):制限有り
使い切りタイプの一次電池の中で、唯一制限があるのがリチウム電池です。
リチウム電池はカメラ、ガスメーカー、水道メーターといったものに使われる円筒形のもの、CR2032やCR2025をはじめとするコイン形のものがあります。私たちの生活の中で、より身近なものはコイン形のリチウム電池。
リチウム電池は、リチウム含有量2g以下のものは、機内へ持ち込むことも、預け入れることも可能ですが、リチウム含有量2gを超えるものは、機内持ち込み、預け入れともに不可となっています。
ニカド電池:〇
充電式電池のニカド電池は機内へ持ち込み、預け入れともに制限無し。
ニカド電池は充電式電池の中で一番古いもの。特徴としては、電圧は約1.2Vで500回の充電が可能。大電流が出せるため、電動ドライバー、ハンディ掃除機、コードレス電話、電動歯ブラシ、シェーバーといったパワーを必要とする機器に使われています。
ニッケル水素電池:〇
ニカド電池と同じくニッケル水素電池も機内持ち込み、預け入れ荷物ともに制限無し。
ニッケル水素電池はパナソニックの「eneloop(エネループ)」が有名。ニッケル水素電池は、ニカド電池に比べて高容量で長く使えるのが特徴。さらにエネループは、通常のアルカリ電池同様に、どんな電子機器にも幅広く使えるので便利。
スマホの乾電池式モバイルバッテリーにもニッケル水素電池が使われています。
リチウムイオン電池:制限有り
繰り返し使える二次電池で唯一制限を受けるのがリチウムイオン電池です。
リチウムイオン電池は、スマホ、タブレット、ノートパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラといった携帯用電子機器に多く使われている電池です。従来の充電池に比べて軽量で高電圧・大容量と優れた特徴を持つため、現代の電子機器に欠かせないもの。また、外出先で手軽にスマホやタブレット、ノートPCを充電出来るモバイルバッテリーにもリチウムイオン電池が使われています。
リチウム電池(リチウムイオン電池)の制限
リチウム電池(リチウムイオン電池)の制限は、電子機器本体と予備電池では、制限に違いがあります。より厳しいのは予備電池。
電子機器本体
電子機器本体(リチウムイオン・リチウムイオン電池内臓) | |||
---|---|---|---|
機内持込 | 預け入れ | ||
リチウム電池 | リチウム含有量2g超 | × | × |
リチウム含有量2g以下 | 〇 | 〇 | |
リチウムイオン電池 | 160Wh超 | × | × |
160Wh以下 | 〇 | 〇 |
リチウム電池・リチウムイオン電池を本体に内蔵した、スマホ、タブレット、ノートパソコン、カメラ、ゲーム機、電動シェーバーといった電子機器本体の場合、リチウム電池はリチウム含有量2g以下、リチウムイオン電池はワット時定格量が160Wh以下であれば、機内へ持ち込むことも、預け入れることも可能です。
現在販売されている、appleの「iPhone(アイフォン)」やSONYの「Xperia(エクスペリア)」といったスマホ、東芝の「dynabook(ダイナブック)」やマイクロソフトの「Surface(サーフェス」といったノートPC、任天堂の「ニンテンドーDS」やSONYの「PSVita」といった携帯ゲーム機で、制限を超えるようなものはないので、電子端末本体の制限はあまり気にしなくて大丈夫です。
予備電池
予備電池 | |||
---|---|---|---|
機内持込 | 預け入れ | ||
ワット時定格量 | 160Wh超 | × | × |
100Wh以上160Wh以下 | 〇※2個まで | × | |
100Wh以下 | 〇 | × |
予備電池は、電子機器本体に比べて制限が厳しいので、注意しておきたい。予備電池とは、スマホやノートパソコンといった電子機器の予備電池のこと。外出先でスマホやノートPCを充電出来るANKER(アンカー)やBUFFALO(バッファロー)の「モバイルバッテリー」が予備電池です。モバイルバッテリーは乾電池のニッケル水素電池を使用したものもありますが、多くはリチウムイオン電池を使用したもの。モバイルバッテリーを旅先に持っていく場合は、制限に注意。
スマホやノートPCといった電子機器本体(バッテリー・電池内臓)は、スーツケースの中に入れて預け入れることが可能ですが、予備バッテリーは預け入れは全面禁止。これは国際民間航空機関(ICAO)が決定したルールに基づくもので、国内線・国際線ともに共通のルール。さらに、機内へ持ち込む場合も100Wh以下は個数制限無く持ち込むことが出来ますが、100Wh以上160Wh以下は1人あたり2個まで。160Whは機内への持ち込みも不可。
カメラ本体から取り外したバッテリーも予備電池扱いなので注意!
多くの人が見落としがちなのが、スマホやカメラの予備バッテリー。iPhoneは内臓のリチウムイオン電池を取り外すことは出来ませんが、Androidスマホでは内臓バッテリーを取り外すことが可能な端末もあります。さらにデジタルカメラは、バッテリーを取り外し出来るのが一般的。実は、この取り外しできるバッテリーを本体から外した状態にしておくと、予備電池扱いとなります。
旅先に一眼レフやミラーレス、デジカメといったカメラを持っていく場合、予備バッテリーを持っていく人も多いでしょう。本来、カメラに入っているバッテリーは、「160Wh以下のリチウムイオン電池・含有量2g以下のリチウム電池」という条件を満たしてる限り、機内持込も預け入れも可能となっています。一方、カメラ本体から外した状態のバッテリーは、予備電池扱いとなるので条件付きで機内へ持ち込める一方、預け入れは一切禁止となっています。大事なバッテリーを没収されないためにも、電子機器本体から取り外したバッテリーは機内へ持ち込むようにしましょう。
リチウム電池内臓の電子端末を預け荷物に入れる場合は必ず電源はオフに!
リチウム電池(リチウムイオン電池)はリチウム含有量2g以下のリチウム電池、ワット時定格量160Wh以下のリチウムイオン電池内臓の場合は、預け入れ荷物としてスーツケースの中に入れておくことが可能です。
ただし、電源を完全にオフにしておく必要があります。2017年7月1日よりリチウム電池(リチウムイオン電池)内臓の携帯型電子機器(スマホやタブレット、ノートPC等)を預ける場合は、安全措置として本体の電源を完全にオフ(スリープモード不可)にすることが義務化されました。また、スーツケースの中に入れる場合、誤って作動したり、破損して発火しないように衝撃緩衝材や衣類などを使って梱包しておく必要があります。リチウム電池(リチウムイオン電池)内臓の電子機器を預け入れる場合、この点に注意しておきましょう。
まとめ
- 制限対象となる電池はリチウム電池(リチウムイオン電池)
- 予備電池は預け入れ不可
飛行機を乗る時に制限を受けるのは、リチウム電池(リチウムイオン電池)。マンガン乾電池、アルカリ乾電池、そしてリチウムイオン電池と同じ充電式電池のニッケル水素電池は制限を受けないので、個数に関係なく機内へ持ち込むことが出来るし、預け入れ荷物としてスーツケースの中に入れておくことが出来ます。一方、リチウム電池(リチウムイオン電池)は制限があるので、注意しておきたい。
特に予備電池(モバイルバッテリーや交換用バッテリー)はスーツケースの中に入れて預けることが出来ないので、旅先に持っていく場合は機内へ持ち込む必要があります。飛行機の旅行では、スーツケースの中にスマホやノートPC用のモバイルバッテリーやカメラの交換用バッテリー等の予備電池を誤って入れっぱなしで預けてしまわないように注意しましょう。