飛行機への薬の持ち込みと海外旅行で気を付けておきたいポイント

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現在病院で処方されている薬がある場合は旅行先にも処方薬を持っていく必要があります。また、常備薬として風邪薬や胃腸薬、頭痛薬、解熱剤、下痢止め、酔い止めといった市販薬を持っていく人も多いでしょう。特に旅行先で長期間滞在する場合や普段飲みなれた薬を簡単に調達できない海外では、薬の持参は欠かせない。

そこで気になるのが飛行機への薬の持ち込みについて。多くの場合は機内へ薬を持ち込むことは可能。ただし、場合によっては保安検査で引っ掛かってしまう場合もあるので注意が必要。特に海外旅行では日本からの出国時だけではなく、海外での入国時に引っ掛かる可能性が高いので注意しておきたい。

飛行機への薬の持ち込み

国内線

国内線の場合、医師から処方された医療用医薬品から薬局等で購入出来る一般用医薬品(風邪薬、胃腸薬、酔い止め等)まで問題無く持ち込むことが可能です。

また、注射針は通常「危険物」に該当するため機内への持ち込み不可となっていますが、「医療目的で自己使用するもの」は例外。糖尿病のインシュリン療法で使われる“インシュリン注射”や食物アレルギーによるアナフィラキシーに対する緊急補助治療に使用される“エビペン”は持込可能です。

国際線

国際線の場合も基本的に薬の持ち込みは問題ありません。

国内線では通常、液体物は「量的制限の対象」となります。テロ対策のため液体物を持ち込む場合、「1容器100ml以下かつ1リットル以下のジッパー付き透明プラスチック袋に全ての容器をまとめる」と条件付きで持ち込み可能。ただし、医薬品はその対象外。液状やジェル状の医薬品(目薬、コンタクトレンズ保存液、使い捨てコンタクトレンズ、液状風邪薬、液状胃腸薬、咳止めシロップ等)は液体物に当たりますが、「液体物の量的制限」の対象外となるため、1容器あたりの容量は関係なく、そのまま持ち込むことが可能です。

ただし、液体物の医薬品を持ち込む場合は保安検査員への申し出が必要です。また、機内へ持ち込む場合は基本的に機内で必要する分に限られます。

国際線で液体物の医薬品を機内へ持ち込む場合、1容器100ml以上を超えるもの、1リットル以下のジッパー付き透明袋には入っていないものは、場合によって処方箋の写しや医師の診断書の提示を求められる場合もあります。

機内へ医薬品を持ち込む場合は“診断書”や“処方箋”を携帯しておくのがオススメ

機内へ医薬品を持ち込む場合は国内線、国際線ともに「医師の診断書」或いは「処方箋(写し可)」を持っておくのがオススメです。旅行で使用する一般的な量の医薬品を持ち込む場合は、医師の診断書や処方箋の提示を求められることも、保安検査で引っ掛かることもありません。ただし、液体物に厳しい国際線では液体物やジェル状の医薬品に関しては本当に必要な医薬品かどうか確認される場合もあります。また、その他の場合でも本当に必要な医薬品かどうか疑いを掛けられる可能性もあります。

そういった予期せぬ疑いを掛けられた場合にスムーズに医薬品の持ち込みの正当性を証明出来るよう、「医師の診断書」或いは「処方箋」を持っておくと安心です。日本航空(JAL)も、機内へ医薬品を持ち込む場合は国内線・国際線問わず医師の診断書を携帯することを推奨しています。

海外に持ち込む薬の量の目安

海外へ持ち込む薬の量は、医療用医薬品も市販薬も基本的に「滞在日数に見合った量」にすることが大切です。一般的な観光旅行の際は滞在日数で自己使用する範囲内の量であれば問題になることはありません。

ただし、滞在日数を大きく超える大量の薬を所持している場合は、営利目的の疑いが掛けられる可能性があります。

また、国によっては持ち込みが禁じられている薬もあるので、渡航先の「駐日外国公館」に事前に確認を取っておくと安心です。

海外旅行で医薬品を持っていくなら“英文薬剤証明書”を携帯しておくべき

海外旅行に医薬品を持っていくなら一緒に携帯しておきたいのが“英文薬剤証明書”です。英文薬剤証明書は、所持している医薬品が医療目的で医師から処方された薬であることを証明する証明書。海外では日本語の薬剤証明書では通用しないので必ず英文で記載された英文薬剤携行証明書が必要です。

海外へ薬を持ち込む場合、滞在日数に見合った量であれば問題となることはありませんが、テロ対策等で入国審査が厳しくなっている国では例え普通の“風邪薬”であっても禁止薬物持ち込みの疑いを掛けられる場合もあります。そういった入国審査での予期せぬトラブルを避けるために、薬の量に関係なく英文薬剤証明書を携帯しておくと安心です。

英文薬剤証明書の入手方法は、かかりつけの医師に依頼するのが一般的です。また、かかりつけの医師に書いてもらえない場合は「一般社団法人日本旅行医学会」の認定医に依頼する方法があります。

海外に持ち込む薬で特に気を付けておきたいもの

注射器

糖尿病のインスリン療法や肝臓病のインターフェロン治療で使用する在宅医療用の注射器や注射針を海外へ持ち込む場合は、必ず「英文薬剤証明書」が必要です。日本から出国する場合は、保安検査では保安検査員に自己注射器であることを伝えれば、特別医師の診断書を提示する必要なく機内へ持ち込むことが出来ます。

入国審査では麻薬や覚せい剤の取締が厳しいので、注射器(針)は厳しくチェックされます。医療目的で自己使用する注射器であることを検査員に正しく伝えることが出来ないと、予期せぬ疑いを掛けられ入国審査室の奥にある留置所で留置されるケースもあります。そういったトラブルを防ぐため、在宅医療用の注射器(針)であることを証明する英文薬剤証明書を携帯しておきましょう。

向精神薬

睡眠薬、抗うつ薬、精神安定剤、中枢神経刺激薬、抗てんかん薬等の向精神薬は、犯罪目的や麻薬として悪用される場合があるので、多くの国で持ち込みに関して厳しいチェックが行われます。日本から出国する場合、日本へ入国する場合は、一定量(約1カ月分)以下であれば問題なく持ち出し(持ち込み)可能です。一方、一定量を超える場合は病気の治療のために医師から処方された薬であることを証明する処方箋の写し、医師の診断書が必要になってきます。

ただし、これは日本から出国する場合と日本へ入国する場合の話。海外へ入国する場合や海外から出国する場合は1カ月分以下であっても入国審査や保安検査で引っ掛かる可能性があります。そのため、量に関係なく「英文薬剤証明書」を所持しておくのがオススメです。

医療用麻薬

がんの痛みの治療に用いられる「モルヒネ」を代表例とする医療用麻薬は、持ちだす場合(持ち込む場合)は事前に「地方厚生局」の“麻薬携帯輸出(輸入)許可”が必要です。許可を得るためには、麻薬携帯輸出(輸入)許可申請書を作成し、医師の診断書を添えて、住まいの住所或いは出国(入国)する空港を管轄する地方厚生局麻薬取締部に提出する必要があります。また、帰国時に飲み残した医療用麻薬を持ち帰る場合、許可は出国する時用と入国(帰国)する時用の二つが必要です。

参照元:近畿厚生局HP

最後に

機内へは病院の処方薬から薬局で購入する市販薬まで、ほとんどの薬が預け入れはもちろん機内へ持ち込むこともできます。ただし、保安検査の手荷物検査で引っ掛からないためにも、薬の持ち込みの正当性を証明出来る「医師の診断書」や「処方箋」を携帯しておくと安心です。また、国際線の場合は渡航先の入国審査をスムーズにパスするためにも、「英国薬剤証明書」を携帯しておきましょう。